東京高等裁判所 昭和48年(ネ)2372号 判決 1976年3月17日
昭和四八年(ネ)第二三七二号事件控訴人 同年(ネ)第二四〇九号事件被控訴人 工藤美江
右訴訟代理人弁護士 渡辺邦之
昭和四八年(ネ)第二三七二号事件被控訴人 同年(ネ)第二四〇九号事件控訴人 足立守
右訴訟代理人弁護士 島原清
主文
本件各控訴は、いずれも棄却する。
控訴費用は、昭和四八年(ネ)第二三七二号事件の分については控訴人工藤の、同年(ネ)第二四〇九号事件の分については控訴人足立の各負担とする。
事実
昭和四八年(ネ)第二三七二号事件控訴人兼同年(ネ)第二四〇九号事件被控訴人(以下「一審原告」という)は、同年(ネ)第二三七二号事件について、「原判決中、一審原告敗訴部分を取り消す。昭和四八年(ネ)第二三七二号事件被控訴人兼同年(ネ)第二四〇九号事件控訴人(以下「一審被告」という)は一審原告に対し原判決添付別紙目録(一)記載の建物(ただし、同目録中同建物所在の地番は建物登記簿に記載されている旧地番による。以下同じ)を収去して同判決添付別紙目録(二)記載の土地(同判決添付別紙図面記載甲部分及び乙部分)のうち同判決添付別紙図面記載甲部分を明け渡し、かつ、昭和四六年七月一日から右明渡済に至るまで一ヶ月金一、八四六円の割合による金員を支払え。訴訟費用は本訴、反訴を通じ、第一・二審とも一審被告の負担とする。」との判決及び仮執行の宣言を求め、昭和四八年(ネ)第二四〇九号事件について、控訴棄却の判決を求めた。
一審被告は、昭和四八年(ネ)第二、三七二号事件について、控訴棄却の判決を求め、同年(ネ)第二、四〇九号事件について、「原判決中、主文第二項を取り消す。一審被告と一審原告との間において一審原告が原判決添付別紙目録(二)記載の土地について賃借権を有しないことを確認する。訴訟費用は本訴、反訴を通じ、第一・二審とも一審原告の負担とする。」との判決を求めた。
当事者双方の主張及び証拠の関係は、次に訂正、付加するほかは、原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。なお、この判決において甲土地、乙土地、丙土地とは、原判決におけると同様、それぞれ同判決添付別紙図面記載の甲部分、乙部分、丙部分の各土地をいうものとする。
一 原判決事実摘示の訂正
1 原判決二丁裏七行目の「別紙目録(二)添付図面記載甲部分」を「別紙目録(二)記載の土地(別紙図面記載甲部分及び乙部分)のうち別紙図面記載甲部分」と、同一〇行目の「別紙物件目録(一)」を「別紙目録(一)」と改める。
2 同三丁表末行の「解約」を「解除」と改める。
3 同四丁表三行目の「甲及び別紙図面乙部分土地」を「甲土地及び別紙図面記載乙部分の土地」と、同五行目の「甲乙土地」を「甲、乙土地」と、同七行目の「甲、乙、別紙図面丙部分」を「甲、乙土地及び別紙図面記載丙部分の土地(以下丙土地という)」と、同八行目の「丙部分」を「丙土地」と、同九行目の「別紙図面の乙部分」を「乙土地」と改める。
同丁裏三行目の「乙部分」を「乙土地」と、同八行目から九行目にかけての「甲、乙の宅地」を「甲、乙土地」と改める。
4 同五丁表一行目及び同五行目から六行目にかけての「甲、乙部分」をそれぞれ「甲、乙土地」と、同七行目の「甲、乙部分の土地所有権」を「甲、乙土地の所有権」と改める。
5 同六丁表九行目の「乙、丙部分」を「乙、丙土地」と改める。
同丁裏三行目の「甲、乙土地」の次に「(別紙目録(二)記載の土地)」を加え、「被告」を「原告」と改める。
6 同七丁表一行目の「意味がないこと原告の転貸権は」を「意味がなく、両者間の賃貸借関係は」と改め、同五行目の「認識しながら、」の次に「何ら正当な理由がないのに被告を右土地から追出すことを意図して」を加える。
二 一審被告の当審における陳述
(一) 反訴の請求原因並びに一審原告の本訴請求の原因に対する抗弁として、次の主張を追加する。
1 訴外里見公勝は、甲、乙土地(原判決添付別紙目録(二)記載の土地)を含む宅地二七〇・七一平方メートルを当時の所有者松下年江から賃借し、その借地を三つに区分し、中央の部分はその地上に自己所有の建物を建てて自ら使用したが、北側の部分である甲、乙土地は一審被告に、南側の部分は訴外御手洗千九万に各転貸し、各転借人は当該転借地上にそれぞれ建物を所有してこれに居住していた。そして、一審原告は昭和二九年六月八日右里見から借地権及び同人所有の建物を譲り受けるとともに、右各転貸借における転貸人の地位をも承継したものである。
2 ところが昭和四〇年末頃から転貸人たる一審原告と転借人たる一審被告との間に転借地の範囲について争が生じ、その結果両者の間に訴訟(横浜地方裁判所昭和四二年(ワ)第六一一号本訴・同年(ワ)第八一九号反訴併合事件、以下「別件訴訟」という)が係属し、昭和四五年二月二七日第一審判決があったが、一審原告は控訴してなお争っていた。(なお、この控訴については昭和四七年九月二八日控訴棄却の判決があり、一審原告はさらに上告したが、昭和四八年四月二四日上告棄却の判決があり、結局第一審判決のとおり確定した。)
3 そこで借地の所有者たる前記松下は、右第一審判決の後、借地を分割してこれをその判決により使用権限を認められた者に売却すれば紛争は一挙に解決するものと考え、まず前記御手洗の転借部分を分筆してこれを同人に売り渡したうえ、さらに昭和四六年二月一七日一審原告の協力を得て甲、乙土地を分筆し、同年三月一二日残地全部を一審原告に売り渡して同月一六日その旨の所有権移転登記を経由し、同月二九日には甲、乙土地を一審被告に売り渡して同月三〇日その旨の所有権移転登記を経由した。
4 ところで本件のように、賃借人が借地の一部を第三者に転貸し、転借地上には転借人所有の建物のみ存する場合において、賃借人が転貸部分を除いた借地を賃貸人から買い取るについて、転貸部分は転借人が賃貸人から買い取るものであることを知りながら、賃借人において賃貸人のなす土地の分筆に協力したときは、賃借人はその転貸部分につき建物保護法により対抗し得べき賃借権を放棄したか、又はこれを減縮したものというべきである。従って、一審原告はその賃借権をもって一審被告に対抗することができない。
5 仮りに右4の主張が認められないとしても、一審原告の賃借権は、同人が自ら買い受けた土地の部分については混同により消滅し、その結果同人所有の建物は借地上に存しないことになるから、建物保護法第一条所定の対抗要件を具備しないものとなり、従ってその後甲、乙土地を買い受けた一審被告に対しては、一審原告はその賃借権を対抗することができない。
6 よって一審被告は一審原告との間において一審原告が甲、乙土地について賃借権を有しないことの確認を求める。また、一審被告に対して甲土地の明渡を求める一審原告の本訴請求は理由がない。
(二) 一審原告の本訴請求に対する抗弁として、次の主張を追加する。
一審原告は、一審被告が甲、乙土地につき転借権を有しない旨主張するが、この主張は別件訴訟の既判力に反するものである。
(三) 一審原告の後記三の(二)の主張については、争う。
三 一審原告の当審における陳述
(一) 一審被告の右二の(一)の主張に対する答弁として、1及び2は認める。3のうち訴外松下年江が一審被告主張のような土地の分筆、売渡及び登記をしたことは認めるが、その余の主張事実は否認する。一審原告は土地の分筆につき右松下に協力したことはなく、同人は一審原告不知の間に甲、乙土地を分筆して一審被告に売り渡し、その登記をしたものである。4、5については争う。一審原告は賃借権を放棄したことはなく、一審被告は甲、乙土地の買受によって右松下の一審原告に対する賃貸人の地位を承継したものである。なお、一審被告は、原審において、一審原告が甲、乙土地の賃借人であることを認めているので、一審被告の4、5の主張は裁判上の自白の撤回に当り、一審原告はこれに異議がある。
(二) 一審被告の二の(一)の主張は、別件訴訟の既判力に反するものである。仮りにそうでないとしても、別件訴訟において一審被告は一審原告が賃借権を有することを前提として一審被告の転借権を主張し勝訴したものであるから、本件訴訟において一審原告が賃借権を有しない旨の主張をすることは、禁反言の法理に反し許されない。
四 証拠≪省略≫
理由
一 当裁判所は、当審における新たな証拠調の結果を斟酌しても、一審原告の本訴請求、一審被告の反訴請求のいずれも失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次に訂正、付加するほかは、原判決の説示するところと同一であるから、これを引用する。
(一) 原判決理由の三(同判決九丁表末行から同一二丁表一〇行目まで)を次のように改める。
三 つぎに一審被告は、本件賃料債務の不履行は背信性がないから一審原告のした転貸借契約解除の意思表示は無効である旨主張するので、この点について判断する。
抗弁2の(一)のうち一審被告が一審原告から乙、丙土地をも転借したとの点を除くその余の事実及び同(二)ないし(三)の各事実は当事者間に争がなく、以上の事実に≪証拠省略≫を総合すれば、一審被告は昭和二八年訴外里見公勝が訴外松下年江から賃借中の土地の一部である甲、乙土地約一五坪を右里見から転借し、昭和二九年一審原告が右里見から賃借権の譲渡を受けて転貸人の地位を承継した後は一審原告からこれを転借し、転借地上には建物を所有してこれに居住して来たこと、その後一審原告と一審被告との間に転借地の範囲に関して紛争が発生し、転借地は一三坪の甲土地の部分のみであると主張する一審原告は、一審被告の提供した一五坪分の転借料の受領を拒むに至ったため、一審被告は昭和四二年一月、同月分から同年六月分までの転借料を供託し、以後毎年二回六ヶ月分ずつの転借料の供託を続け、昭和四六年一月には同月分から同年六月分までの転借料を供託したこと、その間他面において一審原告は一審被告を相手取り乙、丙土地について一審被告の転借権がないことの確認等を求める訴を提起し、一審被告も一審原告を相手方として丙土地の明渡等を求める反訴を提起し、これらの訴訟(横浜地方裁判所昭和四二年(ワ)第六一一号本訴、同年(ワ)第八一九号反訴併合事件)については昭和四五年二月二七日、一審被告の転借地は甲、乙土地であるという理由で、丙土地につき一審被告の転借権のないことの確認を求めた一審原告の請求のみを認容し、その余の双方の請求をすべて棄却する旨の第一審判決があり、一審原告はこれを不服として控訴したこと、かかる状況の下で借地の所有者たる前記松下は、右第一審判決において一審被告が転借権を有すると判断された甲、乙土地を同人に譲渡すれば右紛争も円満に解決するものと考えてその旨を一審被告にも告げ、昭和四六年三月二九日甲、乙土地を一審被告に売り渡し、同月三〇日その旨の所有権移転登記を経由したこと、一審被告もこれにより甲、乙土地に関する一審原告との賃貸借関係は転貸借関係を含めて一切消滅したものと考え、なおその存続を主張する一審原告からの賃料の支払を拒否するとともに、一審原告の転貸料支払の請求にも応じなかったこと、そのため一審原告は同年四月分以降の賃借料を供託するとともに、昭和四七年一月五日内容証明郵便をもって、昭和四六年七月分から同年一二月分までの転貸料として一一、〇七六円(一坪当りの月額を一四二円、転借地の面積を一三坪として計算した転貸料月額一、八四六円の六ヶ月分)を三日内に支払うべき旨の催告を発したこと、翌一月六日その催告を受け取った一審被告は直ちにその対策を当時控訴審に係属中の前記訴訟の代理人であった弁護士に相談しようとしたが、同弁護士が旅行中のため連絡がとれず、同月一一日一審原告からの転貸借契約を解除する旨の内容証明郵便の到達後にようやく連絡がつき、一応支払っておくようにとの同弁護士の指示があったため、即日一審被告の妻に一審原告方へ金員を持参させたところ、すでに転貸借契約を解除したから転貸料は受け取れないと言われたので、同日右催告にかかる六ヶ月分の転借料として一〇、九八〇円(一坪当りの月額を一二二円、転借地の面積を一五坪として計算した転借料月額一、八三〇円の六ヶ月分)を供託したこと、なお、前記訴訟については、その後昭和四七年九月二八日控訴棄却の判決があり、一審原告はさらに上告したが昭和四八年四月二四日上告棄却の判決があったこと、以上の事実を認めることができ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。(≪証拠省略≫によれば、一審被告が自動車運転手兼宅地建物取引業者であることが認められるが、これをもって一審被告が甲、乙土地を買い受けたことにより一審原告との賃貸借関係がすべて消滅したと考えたことに対する反証となしうるものではなく、また≪証拠省略≫によれば、一審被告は甲、乙土地をいわゆる更地価格でなく、底地価格で買い受けたことが認められるが、この点も右買受の当時一審被告が転借人としてその土地を使用する権利を有していたことを考慮すれば異とするに足らず、これをもって一審被告が右買受後も一審原告の借地権の存続することを認識していたことの証左とはなし難い。)
以上認定の事実によれば、一審被告が本件転借料支払の債務の履行を怠ったのは、訴外松下から転借地を買い受けて自ら所有者となった結果、一審原告との賃貸借関係は転貸借関係を含めてすべて消滅し、従って一審原告に対する転借料支払の義務も生ずる余地がないと速断、誤信したことによるものであり、一審被告がこのような誤信をしたことについては、いささか慎重を欠いたきらいがないではないが、同人が宅地建物取引業者であるとはいえ法律の専門家ではないことや、前記認定のような土地買受の経緯に徴するときは、無理からぬ面もあったものというべきである。しかも、一審原告から転借料支払の催告を受けるや直ちに弁護士と連絡をとろうとしたこと、催告受領後五日目(催告における支払期限後二日目)に弁護士との連絡がとれ、その指示を受けて直ちに一審被告の妻に金員を持参させ、一審原告によりその受領を拒絶されたが即日これを供託したこと等の事実を考慮するときは、一審被告の本件転借料支払債務の不履行には、著しい背信性を認めることができない。なお、一審原告が支払を催告した転借料の額と一審被告が供託したそれとが、一坪当りの月額においても相違する点については、証人工藤久之の証言(原審第一回)によれば、一審原告は訴外松下が賃貸人であった頃は同人に支払うべき賃借料よりも一坪当りの月額にして二円多い金額で転借料を定めていたが、昭和四六年二月分から右松下に支払うべき賃借料が増額され、一坪当りの月額が従来の一二〇円から一四〇円となった事実を認めることができる。しかし、右賃借料の増額に伴い、転借料についても一坪当りの月額を一二二円から一四二円に増額することをその頃一審被告に口頭で通知した旨の同証人の証言(原審第一、二回、当審)は、その増額については何も聞いていない旨の一審被告本人尋問の結果(原、当審)と対比してたやすく信用し難く、従って一審被告が一坪当りの月額を一二二円として計算した転借料を供託したことは相当であったものと認められる。
他面、一審原告としては、一審被告が前記のような誤信をしていたことを知っていたのであるから、一審被告が催告後三日の期間を徒過した場合直ちに転貸借契約を解除することが穏当でないことは理解しえたはずである。また、一審被告が滞納した転借料は一万余円であって、左程高額であるとはいえないのみならず、一審原告は一審被告が訴外松下から甲、乙土地を買い受けたことにより、その土地を一審被告から賃借するとともに、これを同人に転貸している関係になったものであるから、一審被告に対する賃借料の債務を同人に対する転貸料の債権をもって相殺し、その差額のみを請求することも可能であり、この方法をとるときは一審被告の債務も極めて少額(本件について仮りに一審原告が訴外松下から賃借していた当時と同様に転貸料が賃借料よりも一坪当りの月額にして二円多く定められ、かつ、転貸地の面積を一五坪として計算すると、六ヶ月分の転貸料と賃借料の差額は一八〇円である。)に止まったはずであって、かかる関係にある転借人に対し転借料の債務の不履行を理由として転貸借契約を解除することは、これを是認する特段の事情の認められない本件においては、著しく妥当を欠くものであるといわざるをえない。
右に述べたごとく、一審被告の本件債務不履行にはその程度、態様から見て転貸借契約の存続を許さないほどの背信性を認め難く、従ってこれを理由とする解除権の行使は信義則上も認められないと解すべきであるから、一審原告のした転貸借契約解除の意思表示は無効であり、その有効を前提とする一審原告の本訴請求は、一審被告のその余の主張について判断するまでもなく、理由がない。
(二) 原判決一二丁裏六行目の「同月」を「昭和四七年一月」と改める。
(三) 一審被告の当審における陳述中、(一)の主張について
1及び2の事実並びに3のうち訴外松下が一審被告主張のような土地の分筆、売渡及び登記をしたことは当事者間に争がなく、右松下が一審被告主張のような考えの下に一審被告らに土地の譲渡をしたものであることは、≪証拠省略≫により認めることができる。しかし、一審原告が訴外松下の土地の分筆に協力したことについては、これを認めるに足りる証拠がない。
ところで、右認定の事実から直ちに一審原告がその借地権を放棄し、又は減縮したと解することはできないのみならず、他にも一審原告が建物保護法により対抗し得べき賃借権を放棄し又は減縮したことを認める証拠はないので、一審被告の4の主張は失当である。
また、前記認定の事実によれば、一審被告が訴外松下から甲、乙土地を買い受けた当時一審原告の甲、乙土地の賃借権がその対抗要件を備えていなかったとしても、一審被告は右土地を買い受ける以前から、一審原告が賃借権を有することを前提としてその土地を転借していたのであるから、一審原告の賃借権が対抗力を有すると否とにかかわらず一審原告の賃借権を当然承認していたものといわなければならない。してみれば、一審原告の賃借権の対抗力を論ずるまでもなく、一審被告は一審原告の賃借権を否定することはできないものというべく、一審被告の5の主張もまた採用することができない。
従って、一審被告の当審における(一)の主張は、一審原告のその余の主張について判断するまでもなく理由がない。
(四) 一審被告の当審における陳述中(二)の主張について
≪証拠省略≫によれば、別件訴訟は乙、丙土地に関するものであって、本件訴訟において一審原告が明渡を請求する甲土地に関するものでないことが認められるから、一審原告の本訴請求が別件訴訟の確定判決の既判力に反するものでないことは明らかである。
二 以上述べたとおり、本訴請求、反訴請求はいずれも失当として棄却すべきであり、これと同旨の原判決は相当であって、本件各控訴はいずれもこれを棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九五条を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 川島一郎 裁判官 小堀勇 奈良次郎)